遺言とは、自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を最も有効・有意義に活用してもらうために作成する、残される方々へ宛てた手紙です。遺言がないために、相続を巡り親族間で争いが起こることもあります。仲の良かった家族が、相続を巡って骨肉の争いを繰り広げ、絶縁状態になることほど悲しいことはありません。
遺言は、自分が残す財産の帰属を決め、相続を巡る争いを防止することや残される方々への想いを伝え、意思を確実に実現させることに主たる目的があります。
- 子どもがいない場合
- 複数回の婚姻・離婚・養子縁組等により家族関係が複雑な場合
- 相続人が多い場合
- 内縁の妻がいる場合
- 身寄りがない場合
- 事業を特定の誰かに承継させたい場合
- 相続人以外に財産を遺贈・寄付したい場合
遺言書には主に以下の3種類があります。
遺言者自身が遺言の全文・日付を手書きし、署名・押印します。
- いつでもどこでも好きな時に書くことができる。※1
- 費用がかからない。
- 証人が不要。
- 遺言書の内容を秘密にできる。
- ※1:ワープロやパソコン、メールは不可。
- 形式的な要件があり、形式不備で無効になってしまう危険がある。
- 相続開始後、裁判所での遺言の検認が必要となり、時間と手間がかかる。
- 発見されないケースがある。
- 保管が難しく、利害関係人による変造・偽造・破棄などの恐れがある。
証人2人の立会いのもとで、遺言者が内容を公証人に伝え、公証人がそれを文章にまとめます。遺言者・証人・公証人が各自署名押印します。
- 公証人が公正証書として作成するため、遺言書が無効となるケースが少ない。
- 遺言書の正本は公証役場に保管され、紛失、変造等のおそれがない。
- 公証役場へ行けない場合は、公証人による出張も可能。
- 文書の作成は、公証人が行うので、遺言者の負担は少ない。
- 費用がかかる。
- 2名の証人が必要。※1
- 遺言書の内容を公証人及び証人に知られてしまう。
- ※1:相続人となる人や、公証人関係者からは選ぶことができません。
遺言者が遺言書に署名押印し、その遺言書を封印します。
遺言書を公証人と証人2人の前に提出して、遺言者・証人・公証人が各自署名押印します。
- 遺言書の内容を秘密にできる。
- ワープロ等を用いることも、第三者に代筆してもらうこともできる。
- 内容を公証人が確認しないため、形式不備で無効になってしまう危険がある。
- 公証役場へ提出する際に2名の証人が必要。
- 相続開始後、裁判所での遺言の検認が必要となり、時間がかかってしまう。
- 保管が難しく、利害関係人による変造・偽造・破棄などの恐れがある。
「公正証書遺言」は公証人が作成するため形式不備等による無効の可能性が極めて低い上、公証役場で保管されるので、破棄されたり隠匿や改ざんをされたりする心配も全くない最も安全確実な遺言方法であるといえます。 公正証書遺言作成にかかる費用についてはこちら |